実際の年金給付額をシミュレーション/国民年金編

 国民年金と厚生年金の違いをざっくり理解いただけたら、次は実際の給付額のシミュレーションです。まずは国民年金から。制度のポイントと合わせて学習していきましょう。現在会社員の方も決して無関係ではありませんのでチェックしてください。

【老齢基礎年金】

 月額一律1万4460円(平成21年度)の国民年金のスタイルはきわめてシンプル。20歳〜60歳までの40年間の納付で満額79万2100円(平成21年度の年額)が受け取れます。

この金額は物価によって若干調整されていますが、大きくずれることはないので、一年間の年金納入で約2万円。40年間の納付で年額約80万円の年金が受け取れると考えると理解しやすいと思います。もちろんこれに現状では最低25年の納付期間が求められることをお忘れなく。

しかしこの25年間の納付期間も必ず保険料を全額で納めなければならないわけではありません。

「法定免除…生活保護法の生活扶助を受けている人など」
「申請免除…所得が一定額以下などで申請が認められた人」

は全額や、所得に応じて1/4、半額、3/4、全額の免除が受けられます。

また「退職(失業)時の特例免除制度」では1/4、半額、3/4、全額のいずれかの免除が選べ、法定免除、申請免除と同様に下記の計算式に乗っ取った方法で、老齢基礎年金の給付資格を見る対象となります。

生命保険文化センター「ねんきんガイド」より

 このほか「20歳以上の学生納付特例制度」や20歳〜30歳未満の人を対象とした「若年者納付猶予制度」などあり、全額免除となりますが、年金の受給資格で見る場合、加入期間は反映されますが追納しない限り年金額には反映されません。

 また追納とは上記の免除制度を利用した場合10年以内の免除分を遡って納付できる制度です。さらに60歳の時点で年金の納付期間が25年に満たなかったり、満額に近づけるべくさらに納付期間を延長したい場合は、任意加入によって65歳まで保険料を納付し、25年以上の受給資格を得ることもできます。

 ただし、何の申請もなく保険料の納付をしなかった場合は2年経過すると滞納期間となり、遡って納付することができなくなってしまいます。

【障害基礎年金】

 国民年金加入者が障害を負った場合に給付される年金です。

● 1級に認定されると年額99万100円が給付されます
● 2級に認定されると年額79万2100円が給付されます

http://www.shogai-nenkin.com/tokyu.html

※ 障害等級表で分かりやすいもののURLです。こちらの情報から表作成願います。

遺族基礎年金

 国民年金加入者が死亡した場合に遺族に給付される年金ですが、遺族基礎年金は子供の養育を目的とされているため、18歳未満の子がいる母親か、18歳未満の子自身にしか給付されません。給付額は以下の通り

(1)18歳未満の子のある妻に支給される年金額

      子が1人・・・・・・・1,020,000円
      子が2人・・・・・・・1,247,900円
      3人目以降は1人につき   75,900円加算

(2)18歳未満の子に支給される年金額

      子が1人・・・・・・・  792,100円
      子が2人・・・・・・・1,020,000円
      3人目以降は1人につき   75,900円加算

※障害基礎年金、遺族基礎年金の受給資格は、保険料納付済の期間(保険料免除期間を含む)が加入期間の3分の2以上あることが条件となっています。つまり、30歳の人なら20歳からの10年間の3分の2(6年9ヶ月)以上の加入が必要です。

【国民年金の給付額をシミュレーション】

 それではここで自営業者Bさんに登場していただきましょう。B さんは現在40歳。国民年金の保険料を納付した年数は16年になっています。60歳まで保険料を納付した場合、年金の支給額は年額71万2890円。

Bさんにはともに自営業を行う36歳の奥さんがいて、奥さんは20歳から保険料を支払っていたので60歳まで納付すれば年額79万2100円が受け取れます。Bさんが65歳になった時点で年金の受給開始。奥さんが65歳になると二人合わせた年金の受給となります。

 そしてBさんには現在10歳のお子さんが1人います。もしBさん不幸にも亡くなってしまった場合、遺族基礎年金として年額102万円がお子さんが18歳になるまでの8年間給付されます。障害基礎年金については前述の通り。

 どうです? 保険を設計する上での金額が一部見えてきた気がしませんか?